将棋のタイトルの永世称号や名誉称号の資格獲得の条件が、それぞれ少しずつ違うのは何故でしょうか(同じものもありますが)。
また、その条件は全て日本将棋連盟が決めているのでしょうか。
(以前は永世名人が最も資格を獲得するのが難しいものだと思っていましたが、他にもっと条件が厳しいものがあるのを知って驚いた記憶があります)
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わかる範囲で回答します。文中敬称略。
名人…1952年(木村義雄十四世名人の引退)に連盟が「通算5期」と定められる。
木村義雄の引退に合わせて定められた可能性が高いです
(この年に大山に名人を奪われ、「よき後継者を得た」と名文句を残して引退した)。
王座…5連覇or通算10期。タイトル戦に格上げ(1983年)以前の成績も含む。
これは将棋・囲碁両方の王座戦を主催する日本経済新聞社が
囲碁(囲碁の「王座戦」の方が設立が早い)に規定を合わせたため。
「永世王座」でなく「名誉王座」と呼ばれる理由や、
満60歳になったら現役でも名乗ることができるのも同じ。
棋聖…将棋界初の「1日制」のタイトル戦で、
体調に優れなかった升田幸三のために作られた、と言われている。
永世称号が「通算5期」と条件が緩い?(しかも設立当初は年2回あった)のも、
同じ理由なのではないか、と推測されます
(ちなみに升田幸三は棋聖位につくことはなかった)。
棋王…米長邦雄が(勝てば連続4期・通算5期目の)棋王戦(1984年)の最中に
大山康晴が「連盟の会長として」通算5期では永世棋王を認めない、という決定を下す。
米長が大山に理由を尋ねたところ、
「名人は特別なものだから、名人以外に「永世」称号がつくのはおかしい(※)」
と言われた(名人を引き合いに出された)米長が引き下がったという。
その後「連続5期で永世棋王」と定められ、その年は防衛(4連覇)したが、
その翌年に棋王位を失い、惜しくも初代永世棋王につけなかった。
(※)それ以前の1973年に大山康晴「永世王将」と名乗っているので矛盾した発言である。
その前年に米長に棋王戦で0-3で敗退(唯一取ったことのない棋王位を取り損ねた)、
王将戦でも1-4で失冠しているので、その腹いせか?とも勘繰りたくもなる。
この件が理由かは不明だが、実際大山と米長は「そりが合わなかった」らしい。
王位…5連覇or通算10期。
タイトル戦の制定は1960年だが、「永世王位」が制定されたのは1997年。
タイトル名が似ている?王座に合わせた(「名誉王座」制定は1996年)可能性が高いです。
…長々と書かせていただきました。少なくとも「王座」は連盟が決めたことではないようです。
竜王(通算7期or連続5期)と王将(通算10期)の由来はちょっとわかりませんでした。
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将棋界といえどもスポンサーの意向は大きいと思われるので、スポンサーの意向も考慮して決めているのは確かだと思われます。
とはいえ、朝日新聞と共催になったから永世名人の獲得条件が変わるということはありえないと思われるので、
タイトル棋戦創設当初のスポンサーと将棋連盟の意向であることに気づいた。
さらにそもそもスポンサーが歴史的に変わってきた棋戦って名人戦ぐらい?という気がした。
名人はスポンサー企業が誕生する前からあったから、名人戦であれだけもめたんでしょうか?
ということで、他の棋戦はタイトルとスポンサーとの関係が名人戦に比べて深いと思われるので、獲得条件が変わることも全くないとはいえないかもしれませんが、以前の永世資格獲得者の権威に影響を及ぼすことなので、容易にはあり得ないでしょう。
なので、やはり「タイトル棋戦創設当初のスポンサーと将棋連盟の意向によって決まっており、よって少しずつ(というかだいぶ)違う」というのが最も当たっているような気がします。違っていたらすみません。
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将棋のタイトルにはそれぞれ違うスポンサーが付いているのが理由です。
例としては名人位には毎日新聞と朝日新聞、竜王位には読売新聞がスポンサーになっていて
賞金を出す代わりに棋譜を独占して掲載する権利を持つことになります。
将棋連盟といえどもスポンサーの意向を無視するのは難しいと思います
名人位の獲得に関してはすべての棋士のうち、上位10人のリーグ戦(順位戦A級)で一番勝った棋士しか
名人戦に挑戦できない(他のタイトルは上位10人でなくても勝ち続ければ挑戦できる)ので、
永世名人位(名人通算5期)はかなり厳しい条件だと思います。
追記:
スポンサーがすべてを決めていると言うことを申し上げたいわけではありません。
ただ、賞金を出してもらっている以上、スポンサーの意向を無視することは難しい部分があると言う話です。
そして、永世○○の称号は実力名人制が成立した後に初めて生まれた称号で、将棋史上最初からあった称号ではありません。
(名人は十三世までは終身制でした。実力制以降最初の永世名人は十四世木村義雄名人)
永世号の資格は後から作られた条件だとお考えいただいた方がいいと思います。
永世名人の条件が厳しいと書いたのは、そもそもプロの中でも10人にしか挑戦の資格がなく、名人位への挑戦が難しいためです。
これに関しては挑戦の難しさという視点から書かせていただきました。
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